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GPと人

小谷 泰史Yasushi Kotani

Profile

氏名 小谷 泰史
勤務先 近畿大学医学部産科婦人科
専門分野 婦人科腫瘍、内視鏡手術、医学教育学

自らも「教育」を学び、次世代の医師を育成する

医学教育学への興味

教育には興味があり、医学生や研修医の先生に教えることを昔から携わる機会が多くありました。日産婦の若手委員も経験し、学年が経て自分が産婦人科の教育の責任者の立場になった際、日本医学教育学会に参加しました。しかし、学会では医学教育の用語が全く理解できないことと、人を教える教育を受けていないことに気付き、医学教育の講習会などに数多く積極的に参加し、学びました。

自らが受けてきた教育

色々な教育系の講習会を受けてきましたが、その中でも、京都大学医学教育・国際化推進センターの「現場で働く指導医のための医学教育学プログラム-基礎編-」を受講し、12人の仲間と124時間のプログラムを修了しました。また外科手術の教育に関して、日本外科教育学会の外科指導のためのワークショップを基礎編と応用編とも修了しました。特にこの二つの講習会は、自分自身の教え方のベースとなっており、今でもこの2つの講習会で学んだ手法を用いて教育することが多いです。

医学生に対する臨床実習、研修医教育

医学生の分娩の見学率が低かったことより、医学生一人ひとりにPHSを持たせ、指導医と密に連携をとる体制とし、分娩の見学機会を逃さないようにしました。また内視鏡手術の実習では、Virtual Reality Simulators(VR)を活用した実習行い、刺激的で、婦人科局所解剖の知識の増加につながる結果となり、その結果も踏まえ、現在当科では分娩や超音波検査など様々なシミュレーターを用いて実習を提供しています。また、初期研修医には、全ての研修医に事前面談、事後面談を行い、ニーズを調査し、オーダーメイドの目標を個々に設定したプログラムを提供しています。

産婦人科医に対する内視鏡手術教育

自分が技術認定医を取得してから、指導する責任者となり、教育の講習会で学んだことを実践しています。修練医のニーズを把握し、術前のブリーフィング、術後のデブリーフィングを心がけています。手術後出来るだけ早期に、良かった点、悪かった点、今後の課題などのフィードバットを、ポイントを絞って行います。また、指導医と修練医間の心理的安全性と、指導医のアンガーマネジメントが大切と考え、常日頃からコミュニケーションを図ることを重視しています。

日本産科婦人科学会教育奨励賞受賞

このような取り組みより、日本産科婦人科学会から「近畿大学医学部での10年間の教育活動~医学部生、研修医における産婦人科教育と産婦人科医師に対する内視鏡手術教育の実践~」というタイトルで教育奨励賞を受賞させて頂きました。今後も受賞者として日本の産婦人科の教育に全般的に携われるように努力していくつもりです。

自分自身が医学教育の講習を受講してきて、基礎的な知識を習得することが出来ました。私はまだ学びたいという気持ちが強く、現在日本医学教育学会の認定医医学教育専門家を目指し、コースを履修しています。産婦人科医は全国的にも人手不足が問題となっており、今後は医学教育を通じて、産婦人科医師を増やす努力や、地方の技術認定医の偏在化、産婦人科手術の教育プログラムの仕事など、教育を通じた活動を行っていきたいと思っています。