GP & PEOPLE

GPと人

玉手 雅人MASATO TAMATE

Profile

氏名 玉手 雅人
勤務先 札幌医科大学
卒業年度 2008年度
専門分野 婦人科腫瘍、妊孕性温存治療

GP取り組みのきっかけ

TraineeからTrainerへ

手術を学ぶにつれて、自分が学んだことをどう伝えたらよいか学びたいと思うようになりました。 手術教育に活かすために選んだ手段が解剖献体手術トレーニング(CadaverSurgery Trainning:CST)やエネルギーデバイスに関する教育= Fundamental Use of Surgical Energy(FUSE)でした。

献体手術セミナー開催

自分の研究で、妊孕性温存手術や子宮移植を行い、助手ワーク+器械出し+医療機器使用について学びました。そして、この恩恵を全国の皆さんに届けるべくセミナーにしました。 「骨盤解剖を紐解く会」と命名して献体手術トレーニングを行い、全国32都道府県で100名以上の方に参加いただきました。

骨盤解剖を紐解く会

セミナーでは、金尾祐之先生のライブサージェリーによる解剖学習と参加者がフォーマンセルで行うプログラムを実施しています。チームで目標を決めて手術を組み立てる楽しさもあり、チームビルディングに最適です。
その動画や画像は教育コンテンツとして活かす予定です。

教育奨励賞

アニマルラボと同様にCSTはOn-the Job Trainingに近い、多角的トレーニングです。事前にプログラムを組み立てないと学習効果は落ちることが解析からわかっています。論文にまとめ、学習効果を評価し教育奨励賞をいただくことになりました。
J Obstet Gynaecol Res. 2022
A mixed-method evaluation of cadaver surgery training for gynecologic oncology

手術する心を紐解く

手術には手技以外の側面も大きく影響します。手術時の高揚感やTraineeとTrainerの関係などもあるでしょう。手術する自己と他者を知り、実臨床に活かせるようなCSTプログラムを作ってゆきたいです。
参加者が自分の手術をアウトプットできる環境、これこそがTeaching is learningの醍醐味と思っています。

産婦人科医学教育者へ向けてメッセージ

手術は決して一人ではできません。外科医教育の中では誰しもがlearnerです。そして、私自身trainerであるとともにtraineeです。日常診療で次々と湧く疑問に自主的に取り組むことが大事だと気がつきました。
外科教育という枠組みの中で、術者として自立するということは独立して手術ができる立場になることかもしれません。しかし、時に助手として術者を導かねばならないこともあります。その時は、自ら考えコミュニケーションを取らなければなりません。そのような、自律した外科医となるためには「自ら考え成長できる力を育む」ことが大事だと思っています。幸い、学会などを通して学ぶ環境が産婦人科にはたくさんあると思います。輪を作り、教育者も学習者ともに成長しましょう。