GP & PEOPLE
GP & PEOPLE
氏名 | 磯部 真倫 |
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勤務先 | 新潟大学医歯学総合病院 |
専門分野 | 婦人科腹腔鏡手術、医学教育学 |
婦人科腹腔鏡手術の地域間格差は日本の産婦人科が抱える重大な社会問題です。新潟県も腹腔鏡の普及が遅れており、2013年には新潟大学とその関連病院における腹腔鏡技術認定医は誰もいませんでした。医局のサポートの下、新潟大学にて、また関連病院に出向して腹腔鏡手術を指導しました。その結果、技術認定医は2022年には22人となり、県下の主要病院で安全な腹腔鏡手術が施行可能となりました。近年は他大学の技術指導にも当たっています。
次に私が取り組んだのは、「学生実習改革」です。私が新潟大学産婦人科では、5年生の学生実習(ポリクリ)の学生からの評価は、全診療科23科の中で22位と低迷していました。私は学生教育担当を自ら申し出、チームリーダーとして他の医局員と合議しながら学生実習教育改革を行いました。学生に愛を持って接し、学生がチームの一員として活躍する診療参加型臨床実習、シミュレーション教育を充実化しました。その結果、学生の評価が年々上昇し、2019年度の1位をはじめ常に5位以内となりました。また、これに付随して、新潟大学産婦人科の入局者も著明に増加しています。
医師は学生だけでなく研修医・専攻医、さらには若手の医局員を教育する立場にありますが、医師が教育の仕方について系統的に学ぶ機会が乏しい現状があります。私は、自身の教育スキルを向上させるために京都大学医学教育学プログラムおよびSurgeons as Educatorsで医学教育学を系統的に学びました。
私はその後、医学教育学を学んだ医師と「今度はよき教育者を育てたい」と考え、2020年度からは、講師側として参加し、レクチャーを担当しています。自分自身が教育を学ぶだけでなく、産婦人科におけるよき教育者を育成すべく邁進したいと考えています。
日本産科婦人科学会から卓越した教育活動を行っている医師を表彰する教育奨励賞の記念すべき第一回の受賞者となりました。教育奨励賞の受賞者として産婦人科の教育の顔となるべく邁進したく思います。
私にとって教育は何なのかと考えてみたく思います。産婦人科医師にとって専門というと、周産期、腫瘍、生殖、女性のヘルスケアなどと言われるかもしれません。私の専門はと考えてみると、「教育」であると思います。そしてよくある質問として、なぜそんなに教育に取り組むのか?といった質問を聞きます。1つ目は好きだからだと思います。自分にとって重要なものは、心や直感が分っています。私にとってはそれが教育であると思います。2つ目に社会との接点です。人は社会とつながりを持ち、貢献できた時に幸福を感じることができます。私は教育を通じて社会につながっていると感じるところです。3つ目に仲間の存在です。私の教育実践には、必ず仲間が存在していました。この仲間の存在が、わたくしの教育を動かしているのだと思います。最後に生涯学習であります。私も生涯にわたって学びを続けたく思います。その学ぶ内容が私にとっては教育なのかなと思います。好きである教育を通じて、社会の中で貢献し、そしてコミュニティの中で、生涯にわたって学んで行ければと思います。