GP & PEOPLE
GP & PEOPLE
氏名 | 今井 賢 |
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勤務先 | 自治医科大学附属さいたま医療センター |
卒業年度 | 2007年 |
専門分野 | 婦人科・腹腔鏡手術 |
産婦人科後期研修医を教育するにおいて、問題点がいくつかあります。その一つとして、臨床現場で指導することが多く、教育担当者はそのチームの指導医にならざるを得ないという点があります。オーベンの専門分野や教育への熱意によって、同じ病院で勤めていながらに教育の格差が生じてしまいます。産婦人科のスタートを切った最もやる気があり、吸収力の高い大切な時期に等しく教育を受けられる世界を作りたいと考えました。
主に腹腔鏡の手術指導に関わる機会が多いのですが、最も大切にしていることは術中の良い雰囲気作りです。ただでさえ緊張している若手医師に、さらにプレッシャーをかけるようなことは避け、できる限り和やかな雰囲気で手術が進むよう意識しています。どんな小さなことでもできたことを褒め、できなかったことはみんなの前ではなく、終わった後に個人的に指導を心がけています。まずは、勉強する気持ちになる土台作りを大切にしています。
後期研修医に対する教育の均一化を図るために、2021年5月からオンラインセミナーであるSSS onlineを開始しました。これまで月2回のペースで開催してきました。内容としては、後期研修医がスタートラインに立つ上で知っておいた方が良い知識を勉強できるように勤めました。多くの先生にご参加いただき、たくさんの方にお届けできるようになりました。
若手医師の一種の憧れでもある腹腔鏡下子宮全摘(TLH)ですが、鉗子操作・縫合技術・解剖知識など様々な技能が必要であり、一朝一夕にできるものではありません。そこで「ウテリちゃん」と名付けた自作の骨盤モデルを使用し、TLHの解剖・剥離操作・マニピュレーターの操作などを事前に習得できるプログラムを考案しました。1対1で向き合いながら、時間をかけて指導することで、TLHを完遂できる医師が増えました。
日本外科教育研究会(https://www.surgicaleducation.jp/)が主催するSurgeons as Educators Course in Japanに2022年からインストラクターとして参加し、外科教育を行う側の医師の教育にも関わらせていただいています。自分自身もより良い教育手法を身につけ、意見交換しながら共に成長できる場を大切にしたいと考えております。
最も嬉しい瞬間は、自分が執刀した手術が上手くいったときではなく、自分に関わった若手の医師の、できなかったことができるようになった瞬間です。自信と喜びに溢れた表情を見ると自分のこと以上に嬉しくなりますし、教育をしていて良かったと思う瞬間でもあります。これからも若手が自信を持って医療に携われる環境を目指して、教育に邁進します。